#11【老後を操作できる!?老化に伴う姿勢変化】

国内の平均寿命は医療の発展に伴って以前と比べて格段と高くなりました。しかし、寿命が伸びたとしても健康寿命も同じように伸びているか問われると、そうとは限りません。誰でも命ある限りは健康である必要があります。年齢を重ねるごとに必ず細胞は老化していきます。よって、筋力や臓器の働きが衰え、若い世代と比較すると確実に生活パフォーマンスは低下していくものです。しかし、健康寿命は人それぞれ個人差があります。この”差”は何が招いているのでしょうか。今回は「加齢に伴う姿勢の変化」についてお話しいたします。

【老化を招く要因】

そもそも、人が老化していく要因とは何でしょうか。多くの研究で老化の過程が調べられており、高齢者の多くには「感覚」「運動」の様々な過程で起こる衰退が明らかとなっていますが、同じ暦年齢でありながら身体機能は身体的エリート(自由に体を動かせる人)から、身体的に人の手を借りる必要のある能力障害を有する人がいます。これについて分かったことが、老化には遺伝子のような"内部要因"とその人の生活様式や生活している環境のような"外部要因"、つまり遺伝子などの生まれながらに持った細胞レベルと、これまでの生活習慣や環境からなる健康や寿命に大きな影響を与えることがひとつの要因として明らかになりました。

この中でも、DNA(遺伝子)の損傷が重要な要因のひとつであると述べられています。例えば、体の細胞では1時間当たりに約800個つまり1日に換算して19,200個のDNAが損傷されているということが明らかになっています。損傷したDNAのほとんどが修復されるのですが、中には修復エラーが起こることもあります。そして、老化に至るDNAの損傷の主な原因は、通常の代謝作用で起きる活性酸素であり、食生活や運動によって影響を受けるのです。比率としては、遺伝子面の要因は20%寄与し、生活習慣での健康面では80%も寄与するのです。

すると、生活習慣次第で大きく変化するということが分かり、生活習慣が老化にどれだけの影響を与えるのかという研究がありました。そこでは、食物管理を行うことで寿命が延びることが示されており、加えて運動プログラムを習慣化することによって心血管系の健康状態が向上し肥満が抑えられる。また、身体と精神機能を高められることが明らかとされ、結果として有酸素性のパワー・筋力・さらに柔軟性が増して生物学的年齢を10~20歳ほど改善できる。これによって他人の手をかりなければならない年齢になる時期を遅らせ、残された人生の質を高めることができるようになるのです。老化がどのような経過を辿るかは、どのような生活を送っているかによって大部分が決まってしまうことが分かっていれば、予防的な健康管理に関する手法に重点を置くべきであるという事が分かります。

【転倒の危険要因】

健康な若者世代にとって"転倒"とは恐らく不注意やドジな人などの印象を持つのが通常でしょう。歩行動作の中で何もなく転倒するのは、通常であれば基本的に考えにくい状態だと思います。しかし、高齢になると注意力や筋力などの低下により、転倒を日常的にしてしまう可能性が非常に高くなります。実際に転倒は、75歳以上の死因の7番目でもあるほど高齢者にとって重大な問題なのです。

転倒する要因としては、回転性めまいや起立性低血圧などの研究結果が様々ありますが、最近になってからの研究では「筋骨格系」の要因が比較的高いと考えられています。つまり体の構造的なものです。アメリカ老年医学会・イギリス老年医学会・アメリカ整形外科学会から発表されている「高齢者転倒予防のガイドライン」によると、地域に居住する高齢者に発生する転倒には通常は11の危険要因が関与しており、それらは[筋力低下・転倒歴・歩行障害・バランス障害・補助具の使用・視覚障害・関節炎・日常生活活動(ADL)障害・うつ・認知障害・年齢]があります。全体的に、身体障害を持たれてる方以外は物理的な体の構造的機能障害によるものだと捉えられます。

【老化に伴う姿勢変化】

転倒の主な要因として、筋骨格系の構造的機能障害があげられ、簡単にいうと本来二本足で立って歩く為の体の構造が正常ではないということです。よって、関節の可動域が狭まったり筋肉が必要以上の働きをして物理的な障害を起こしてしまうのです。転倒依然に高齢になってもなお体は自由に動かせる状態でありたいと、全員が思うことでしょう。

人は老化に伴って胸椎後湾の増大や腰椎前湾の減少、骨盤の後傾化(お尻が下がる状態)、膝関節屈曲(膝が曲がった状態)など様々な姿勢変化を起こします。一般的に老化に伴って上半身の重心が前方化(前にかがんだような姿勢)してしまい、当然そのままでは姿勢の保持が苦難になります。その為、骨盤を後傾化させたり膝関節を屈曲させたりなど、あらゆる箇所を曲げたり歪めたりなどして全体の重心を再び中央に引き戻してバランスをとろうとします。加齢によって胸椎の後湾の増大に伴う第7頸椎の前方変位が生じ上半身の重心位置が前方化しますが、これを骨盤の後方変位によって修正し、全身の重心位置は大きく変化させないようにします。これらの一連の動きを本能的に行う為、自身の自覚はありません。四つ足歩行と比べて二足歩行は極めてバランス力が常に求められる為に、本能的に備わっている人間特有の能力なのです。

高齢者でよく見かける姿勢が、腰から背中、首にかけて大きく前方に丸まった状態。いわゆる猫背。その姿を見てよく「きつくないのかなぁ」「腰伸ばせばいいのに」などの声を聞くことがあります。高齢者の猫背について述べる際に前提として言えるのは、一気に変化した訳ではないということです。数十年という長い時間をかけて変化していくもので、そもそも人間は前に目があって当然前に前進して歩行する為、関節の可動方向なども踏まえると、後ろに反るように姿勢が変化することは普通では考えられません。少しずつ筋肉の収縮を繰り返して、前傾姿勢に変化していくものと考えられます。そして、手を後ろに組むとより安定するのです。それでも前傾が強くなると、カートや杖で支えるようになるのです。その姿勢になってしまえば、筋肉がその形でクセついているので、腰を伸ばしたりすると逆に筋肉が引っ張られるようになる為、前傾の体勢が自身にとっては一番力を抜いてリラックスできるのです。

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【人間がバランスをとるメカニズム】

【胸椎と腰椎】

生涯を通して胸椎の配列を正常に保つためには、筋肉や骨・靭帯などの組織構造に支配される内在性の力と重力による外在性の力との微妙なバランスを維持しなければなりません。この微妙なバランスが崩れると構造的な変形をきたします。胸椎では、椎間板ヘルニアなどの症状をきたすことは比較的稀です。ひとつの理由として、椎間可動性が比較的低いことと胸郭や肋骨・肋軟骨などによる安定性が高いことが考えられます。脊柱半分ほどを占めている胸椎は特に重力やねじれによる損傷を受けやすいです。胸椎における姿勢異常の代表的なものとして「後湾症」「側弯症」の2つがあります。

後湾症は上記でも記したように、基本的には胸椎は頸椎や腰椎と比べて歪みにくいものです。しかし、他の部分が歪んでるのに対して体を正面に修正する(重心位置を中心に安定させる)為に胸椎が歪むことがあります。その結果として過剰に後湾してしまうのです。また、側弯症は【#5】にも記してますように、生まれながらの先天性と、生活環境によって変形していく後天性とあり、未だに側弯症の全症例のおよそ80~90%は生物学的にも力学的にも原因不明とされる病名なのです。

次に腰椎についてですが、胸椎の後湾が過剰になるにつれて人間は前を向く必要がある為、お尻を下げて膝を屈曲させて姿勢を安定させます。この状態のときに、腰椎の本来の前湾が減少します。仙骨には腰椎の前湾に伴う傾斜が必要なのですが、胸椎の湾曲が大きくなることで仙骨が起き上がり垂直に近い状態(フラット)へと変化します。すると、あらゆる不祥事が起きてきます。
まず、状態が前屈体勢になることで背中周り(主に脊柱起立筋)の筋肉が必要以上に頑張る必要があり、常に違和感・疲労感を感じるようになります。また、歩幅の減少とそれに伴う歩行速度の低下が必然的に起きます。そして、人間が立って生活をするうえで逃れられない脊柱に対する重力負荷を一番受ける腰椎ですが、重圧や衝撃のクッション作用を施す為の前湾が減少してしまえば、当然ダメージが大きくなり、これを蓄積していくことによって「腰椎椎間板ヘルニア」「腰椎圧迫骨折」などを引き起こしてしまうのです。つまり、あくまでも傾向ですが腰が曲がることで歩幅の減少⇒転倒の危険性の増大⇒歩く意欲の低下⇒歩く機会の減少⇒下肢の筋力低下⇒歩行が自力で困難になる⇒寝たきり…。といった悪循環がここでも生まれてしまう可能性があるのです。

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【側弯症について】

【まとめ】

老化することは人間当然のことであり、防ぐことのできないものですが、どさくさに紛れて姿勢悪化も老化と同時進行させてしまうと本来なる必要のない症状や病気に囚われたり、人生終わりに差し掛かる期間を二足歩行で自由に生活ができなくなる可能性が非常に高くなります。これは、あまりにも惜しいです。どうしてか、世の中というのは不安要素・マイナス要素となる情報を世間へ流し、「年を取るのは嫌だ」、「高齢者には自由がない」などのマイナスなイメージを持たせたがります。これは、国や権限者などの都合で操作されているように思えてなりません。よって今の国内の高齢者は精神的不健康な人たちばかりのような気がします。何かあるごとにマイナスな考えを抱いている。周りがどうではなく、個々が心身ともに健康であれば、自由で幸せな生活ができる筈です。また、高齢者に限らず、若い世代からの予防が未来を形作るので、少しでも細胞的にも体の構造的にも健康であれば自由な将来が待っています。これから、そのような人物が一人でも多くなってくれることを望みます。

”最後に”
当院は、整体院や整骨院とは異なり、対処療法ではなく科学的根拠に基づいた姿勢調整を行うことで、不調の改善と健康維持を目指す「健康支援センター」です。姿勢科学の分野をまだ知らない・自分に合ったケアがまだわからない方へ、早くこの手が届きますように!そんな思いで、日々活動しています。

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