「側弯症」という言葉を知っていますか?以前からすると少しずつ浸透してきている言葉ではありますが、まだまだ一般的に認知度は低い状態です。比較的若い世代に起きやすい背骨の病気であり、自覚症状があまりなく、特に若い内は痛みが起きにくい病気です。その為、「側弯症」であることが分かったとしても、本人・両親ともにそのまま放置状態にする人が多く、後々大変な目に遭う方が大勢います。そのような子ども達を一人でも減らすことを願って、今回は「側弯症」について記します。
目次
- 側弯症とは
- 無視はダメ!!
- 治療方法
- 適切な予防とは
- まとめ
【側弯症とは】
背骨を横から見るとS字状にカーブしています(生理弯曲と言う)。一方、真後ろから見ると直線状に真っすぐしている状態が本来です。しかし、これが真っすぐではなく左右に湾曲している状態を「側弯症」といいます。弯曲の大きさは上下で最も傾いている背骨同士のなす角度で判断します。側弯症は主に先天性と後天性に分かれており、中でも「機能性側弯症」や「構築性側弯症」など色んな種類のものがあります。国内には「日本側彎学会」という側弯について研究や論文発表をしている機関が存在しますが、いずれも側弯症になってしまう原因は未だ不明とされています。側弯症は若年層に起きる割合が非常に多く、成長段階に伴って進行も早くなります。しかし、痛みを伴うケースが低いため本人が自覚していないことが多いです。また、側弯についての知識を持たれているご両親も少なく、子どもの異常な状態に気づいてあげれない・または気づいたとしても事の重大さを把握できない家庭を多く見受けられます。

【無視はダメ!!】
側弯症になることで痛みが伴いにくいと言われますが、これは早期の段階の話です。側弯がどのような影響を及ぼすのかをここで記します。ご存じの通り人間の体は全て神経でコントロールしています。視覚や聴覚などの感覚系や痛覚、そして臓器を動かすことさえも神経の伝達によって行われています。これら全ての神経は、脊柱(背骨)から発信して体の末端へ伝わっております。すると、側弯によって背骨が傾き変形していくと当然、根元である神経根は押しつぶされるように圧迫を起こします。これが指先の神経であれば指先の感覚に異常が現れたり、思うように動かせないなどの症状が起きます。これが心臓であれば、脈拍のリズムが不規則になったり結果として血液循環が不十分になるなどの症状が起きます。また、傾きが強くなると直接的に内臓を圧迫するものもあります。このように、側弯症になることでいいことは何一つありません。
自身が側弯症であると・または我が子が側弯症であると分かった段階で絶対にやってはいけないことは“無視”です。前述のとおり、若年層で起きた場合は体の成長に伴って目立って進行が早いですが、細胞や筋肉がカバーしてくれるため比較的痛みは起きにくいです。しかし、この状態を放置すると傾きは日に日に強くなっていき、まるで痛みが出るのを待っているような状態になる訳です。まずは、一日でも早く早期発見をすることが大切です。そして側弯症であることが分かったら、痛みがないからと言って放置や無視することだけは絶対に避けていただきたいです。

【対処方法】
基本的に側弯症に対する治療法としていくつかの方法があります。整形外科では、側弯角度が20度未満である場合は定期的なX線検査を受けながら経過観察を図られます。20度以上になると、進行防止のために”ブレース”という装具治療を受けるようになり、更に角度が大きくなるようであれば手術という手段を勧められるようになります。これらを要約すると、角度が大きくなるまでは放置し、大きくなってからは固定もしくはメスを入れて強制的な手術を行うということです。※側彎学会から引用
ここからは、姿勢科学的視点からの考えを申し上げます。まず、最初に行う”経過観察”ですが、これは本来治療を施したあとに様態がどのように変化するかを観察するものです。側弯症は角度が大きくなり続けるものであり、特に若年層は進行が早いにも関わらず何も手を付けずに経過観察することは、ただ酷くなるのを待つようなものです。そして恐ろしいのはここからです。以前#5【側弯症と対策】にて記したことがありますが、進行を食い止める固定装具は、体の一部分というものではなく全身が対象となり、四六時中無理矢理固定しようとするものなので、寝ている時にも外すことは基本ありません。想像するだけで窮屈な生活ですが、こうすることで別の問題が発生してきます。ご存じのように骨は睡眠中に成長するものです。ですが、固定した状態を続けて正常に近くなるまで様子をみるものなので、当然何年単位という長い時間が必要になります。成長期の人間を型にはめ込むように固定してしまうと、考えるまでもなく肋骨などの成長不全や神経・血管など様々な成長障害を起こす可能性が極めて高くなります。「側弯症」という一つの症状に対しての対処の仕方としては適しているのかもしれませんが、他の部位の成長計画を阻害する危険性が高いことからオススメし兼ねます。

【適切な予防】
背骨だけを見ていると、日に日に角度が大きくなるのをどのようにして阻止しよう。という風に思いますが、これを二足歩行の人間として見た時にいかにして正常な姿勢に近づけれるか。という考え方もできます。これは、姿勢療法のいち例として考えた時に、若年層であることもあって関節的なトラブル(関節機能障害=セグメンタルディスファンクション)は基本的に少なく、筋肉のクセによって背骨が湾曲してる可能性が高いと考えられます。この場合、骨をどうこう治療するのではなく筋肉の左右バランスを均等にする必要があります。また、二足歩行で生活をする以上、背骨に重力圧がかかり続けている為、せめて横になった睡眠時くらいは日中にかかった背骨の負荷を回復させてあげる必要があります。よって、“筋肉のバランスをとること””寝る環境”この2つが重要であることが分かりました。1つずつご説明致します。
※これはいち例です
※側弯症が姿勢療法で改善すると一概に訴えるものではありません
筋肉は約640種類ほど存在し、体重や年齢・生活環境が人それぞれ違う為、当然筋肉の付き方も人それぞれ違います。なのでテレビや雑誌で話題になっている筋トレやストレッチが、自分の体に適しているとは一概に言えません。つまり、自分の体にあった筋トレやストレッチをする必要があるのです。これは、オーダーメイドで選出する以外ありません。640種類の内どの筋肉が縮んでどの筋肉が伸びているのか、自分で把握することは不可能だからです。ここで当院は、人体構造を研究・分析しているカナダのBIOTONIX(バイオトニックス)をお勧めします。ここの姿勢評価システムを用いれば、自分のどの筋肉を強化する必要があるのか。若しくは伸ばす必要があるのか。その為にはどのようなエクササイズをどれだけ行えばいいのか。このようなことが、オーダーメイドで作成されるのです。結果に沿って行うと、筋バランスはおのずと左右均等に整ってきます。よって、背骨が弯曲していたとしても以前よりは確実に筋肉による阻害(邪魔)が無くなる為、真っすぐ立てたり歩いたりすることが可能になってきます。
次に”寝る環境”についてですが、#19#20で記したように寝る環境が立った時の姿勢を形作ることになります。正常の方よりも側弯の方は、ただでさえ背骨に対する負荷が強いので余計に意識しなければなりません。人間は熟睡すると筋肉がお餅のように弛みます。泥酔した人や寝付いた赤ちゃんなど、同じ体重にもかかわらず重たく感じる感覚は良い例です。この瞬間にどのような環境で寝ているか次第で体は大きく変化します。仮にふかふかな軟らかいベッドで流行りの高枕をして寝たとすると、腰からお尻にかけて沈むと同時に首から頭は上がった状態になります。日中の負荷を寝た時に回復させる目的が、寝ている時にも強い負荷をかけ続けることになりかねます。よって、なるべく軟らかくない環境・頭を上げない状態で寝ることが好ましいです。当院がお勧めしている寝具は、日本医療研究株式会社の「ヘルシーライン」です。突起構造になっており筋肉が弛んだ際に背骨一個一個の関節を開いて椎間板の回復を助けてくれます。

【まとめ】
改めて「側弯症」はなめてかかってはならない病気です。放置していると、どんどん進行が早まり本人に異変が現れるのを待つだけの状態になってしまいます。しかし、学会でも原因が未だに明確に分かっておらず、確実な治療方法も定かではありません。病院で勧められることは基本的に曲がった背骨に対してだけのアプローチであって、そうすることで抱える成長障害のリスクを理解しなければなりません。姿勢科学的視点から見ると、側弯を治すというより「姿勢を正常にする」ことを目的にするという考え方もあります。実際に早い段階でケアを行って、手術と言われていたが今では元気に生活しているお子様もいます。しかし、全ての側弯症が姿勢療法によって治ることは一概には言えません。ケアのひとつの方法として考えられるというだけのことです。ただ、今回の記事を通して確実にお伝えしたかったことが一つだけあります。それは「放置」だけは絶対にしてはならないということです。繰り返しお伝えしますが、我が子が「側弯症」の疑いが分かった時点ですぐに行動をおこしましょう。

