#15【危ない⁉危険⁉あなたの受けている腰痛治療は本当に安全ですか?】

近年、テレビなどで整体関連の話題に触れた特集などが組まれることが多くなりました。そこでは、腰痛改善法や腰骨の矯正治療法などで腰を大きく回旋させて「ボキッ」と音を鳴らすような映像をよく目にします。果たしてこれは本当に腰骨に効果的なのか、もっと言うと体に対して健康的な効果を与えるものなのでしょうか。今回は「腰痛治療」をテーマにお話しいたします。

【はじめに】

現代の日本では、腰痛の患者数が2,800万人~3,000万人ほどいるとされており人口の約4人に1人が腰痛の症状を持っているとされています。また、生涯で腰痛を経験する人は8割以上にのぼる国民病ともされるほど「腰痛」は人々の健康被害を及ぼすひとつとなっております。この患者数の増加と比例するように整体院・接骨院・鍼灸院・マッサージ院などの治療院市場が年々拡大しております。みなさんのお住まいの町だけでも多くの件数あるのではないでしょうか。全国では約20万件程の店舗数があり、これはコンビニエンスストアの2倍以上の件数とされております。患者数と店舗数が共に増加することにより以前と比べると国民的に健康意識が高まってきております。すると、テレビやyoutubeなどのメディアで取り上げられる機会も増えてきました。

【ランバーロールは危険】

では、実際に行われている腰痛に対する治療法はどのようなことが行われているでしょうか。きっとみなさんが想像されるのは、腰を大きく回旋させて「ボキッ」と鳴らすような施術だと思います。これは、数多くのメディアでこのような施術を取り上げられている為に、この施術がみなさんにとっての当たり前になり一般的な常識になりつつあります。しかし、この施術は果たして安全且つ適切な施術なのでしょうか。
腰を大きく回旋させる治療法をランバーロール(lumber roll)といいます。中国では「腰椎回旋矯正法」と書くように世界中に同じようなテクニックは共通して存在しています。しかし、ランバーロールは非常に危険なため、現在アメリカではランバーロールを教えている教育機関は国内に存在しないとのことです。手技療法の世界基準に準じた教育が行われているアメリカではランバーロールは一切行われていないのに対して、日本国内では当たり前のように行われているのが現状です。

そもそもなぜランバーロールが危険なのか。この問いは解剖学的に見ると答えは単純です。腰椎は背骨の最下部に位置する5個の椎体を指します。上の椎体を下の椎体がホールドしているような構造をしており、例えば腰椎4番は腰椎5番にホールドされているように、1番負荷がかかる部位なので横ブレしない為にがっちりと両サイドから固定されている構造になっています。なので、腰椎は矢状関節のため前屈したり後屈するなどの前後の動きを得意とします。対して、真横に側屈したりその場での回旋動作などは横からホールドされている為、可動域に制限がかかってしまいます。特に回旋の動きは1番苦手とし、腰椎5個すべての総軸回旋は両側に僅か10度。腰椎5番に至っては両側に2度。つまり片側1度程しか可動域がないのです。したがって、腰椎の軸回旋運動では可動域がかなり制限されている為、アメリカの教育機関などでランバーロールは危険とされていることが分かります。

よって現在日本国内で行われている腰を大きく回旋させる施術を構造的な視点から見ると、上記の理論などから壊れる危険性が極めて高く悪影響な健康被害をもたらす可能性が高いと考えられます。

【「ボキッ」の音の正体】

よく矯正を行う際に「ボキッ」と音を鳴らすような様子を見受けられます。これは、骨の音がボキボキ鳴っているように認識されている方が多いと思いますが、実は骨の音ではなく関節内の物質が弾ける音なのです。関節には関節包という関節を保護・安定させる為の袋状の膜があります。この関節包の中には関節の動きをなめらかにする為の滑液が流れております。(※機械でいう556のような役割)この滑液の中にある気泡が弾けたとに「パキッ」や「ボキッ」といった音が鳴ります。関節を急に曲げたり伸ばしたりなどした際に関節内の圧力が急激に低下することで、滑液に溶けているガス(窒素化合物や二酸化炭素)が気泡化し、それが弾けた際に鳴ります。この現象をキャビテーションとも言いますが、決して骨のズレや骨同士の衝突が原因で鳴っている訳ではありません。
最近では、「ボキボキ整体」などの名称を謳いメディアなどでの披露や、それをきっかけに患者側も音を鳴らしてもらうことを目的にブーム化しているように感じることがあります。施術者側も症状を治すことよりも、音を鳴らすことを目的にしてしまっている程です。これまでの内容を踏まえると、腰は大きく回旋をさせて良いことはまずないと考えられます。しかも、「ボキッ」と音が鳴るほど急激に動かすことはもってのほかです。また、骨の音を鳴らすことを目的に治療家が行っているケースが多く、それも骨の音が鳴っていると認識している。音が鳴る=治る、この認識は全くの誤りだと思います。腰に限らず色んな体勢をとって体のあらゆる箇所の音を鳴らすような施術がありますが、これは治療というよりもパフォーマンスにすぎません。患者側は本当に症状を改善を望むのであれば、もっと適切な方法を選ぶべきだと思います。

【正しい腰痛治療とは】

腰痛原因の15%が明確になっており、あとの85%は不透明とされています。最初に述べたように人口の4人に1人が腰痛の症状を抱えているのに対し、その85%は原因が明確になっていないのです。ここでよく考えてみましょう。腰痛で受診して大半の方の診断は年齢やお仕事柄、そして1番は腰への負担がかかりすぎているという内容です。みなさんは不思議とここで納得していませんか?もし、そうだとすれば自分と同じ年齢の人は同じ症状かと言えば決してそうではない筈です。同じ職場の方が全員腰痛かと言えばそれもきっと違う筈です。明確に原因を追究しようと思えば、そもそも"なぜ腰に負担がかかっているのか"これをまず明確にする必要があると思います。
姿勢科学の観点から人間のメカニズムを考えると、人間は二足歩行のため常にバランスを取り続けて生活をしています。バランスを取る為のセンサーが体のあちこちにありますが、1番その役割を果たしているのが「目」です。目線の帳尻を水平・垂直になるように首や腰、膝などを傾けて本能的にバランスを取るのです。つまり、腰に負担がかかっているのは目線の帳尻を合わせる為に姿勢を傾けた結果的なものだと考えられます。姿勢は数日で変化するものではなく、日頃のお仕事柄や生活習慣によって数年・数十年という年月を重ねて変化していくものであり、単に腰だけを見て腰に負担がかかっているから。という理由ではなく、姿勢が変化することによっておのずと腰に負担がかかるような大勢になってしまい、結果として腰痛を引き起こした。と自然的かつ理論的に考えることができると思います。

そうなれば、腰痛の正しい治療法としては原因が「姿勢」であることが明確になれば、当たり前ですが姿勢を変化させることが適切な治療法と考えられます。例外として局所的に衝撃が入って痛んだのであれば、それは姿勢ではなく腰だけを見て症状改善へ導けると思いますが、そうでなく日頃生活をしている延長戦上で症状が出たのであれば腰部をどれだけ検査して治療したとしても部分的処置に過ぎないので、改善へ導くことは難しいでしょう。その場合は、もっと視野を広く持ち体の全体像を視野に入れて診ると"立ち方"や"重心の移動"の仕方などに目がいき、結果として腰に負担がかかっていることに気づく筈です。そうすると、姿勢を変化させることが症状改善へ導いてくれるのだと自然と改善への道筋が見えてくるのです。もし、長い間腰痛に苦しんでいるのであれば、これらの考えを持っていただくと先が見えてくるはずです。

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【まとめ】

デジタルな社会になり、これだけ手元のスマートフォンであらゆる情報を仕入れることができるようになったことで、一般の多くの方もテレビやメディアで発信されていることが必ずしも正しいことではないということは理解されている筈です。特にご自身の体のことなので情報入手には慎重になっていただきたいです。安易に流行りに流されて他人に体を預けて「ボキッ」と壊されるようなことは、現状あり得ます。リラクゼーションをはじめ、○○式整体などあらゆる療法が増えてきておりどこを選ぶのが正しいのか難しい時代ではありますが、患者側が正しい知識をつけ正しい行き先を見極める力が必要です。自分の体は自分で責任をもって守りましょう。

”最後に”
当院は、整体院や整骨院とは異なり、対処療法ではなく科学的根拠に基づいた姿勢調整を行うことで、不調の改善と健康維持を目指す「健康支援センター」です。姿勢科学の分野をまだ知らない・自分に合ったケアがまだわからない方へ、早くこの手が届きますように!そんな思いで、日々活動しています。